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〔おみくじのあれこれ〕

おみくじの和歌

(万葉集)



 おみくじを引くと、和歌が添えられていますが、この「おみくじに付いてくる和歌」、あるいは「おみくじに付ける和歌」とは一体何なのでしょうか。このように「おみくじの和歌」について疑問を持つ人が多いです。

 おみくじに和歌を添えるのは、本来はこの和歌の内容から運勢を占うという基本的な考え方、習わしがあるからなのです。


 一般に神社のおみくじでは和歌が添えられるのが普通ですが、明治神宮などの神社では御製や御歌が添えられています。また、寺院のおみくじでは漢詩が添えられていることもあります。寺院で漢詩が添えられるのは、おみくじのルーツである「元三大師」が僧侶だったことに由来しています。

 おみくじに和歌が添えられる理由は、古来より日本の神々は和歌を詠むとされ、神からのご託宣(お告げ)も和歌の形で示されることが多かったからとされます。

 神々は夢枕に立ったり、あるいは神の意を受けて信者と言葉を交わす巫女を通じて、和歌を用いて大事なお告げを伝えてくれるのです。人々はその和歌を解釈し自分の願い事などを占います。

 一般人には和歌を解釈するのは相当な困難を伴うこともあり、普通のおみくじでは、運勢の概略説明が記されています。また、「願事」や「恋愛」「縁談」「出産」等々のような個別の運勢についても簡略な説明がなされます。

 おみくじに用いられる和歌は多種多様ですが、当サイトでは、『小倉百人一首』の和歌、100首を用いています。新しくなった元号の「令和」という言葉は、日本の代表的古典文学である万葉集から採られたことは有名ですね。



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万葉集バー ◆ おみくじ占い館で利用している万葉集の和歌。
おみくじの和歌 (万葉集)

番号

作者

和歌

訳文

001

額田王

熟田津に 船乗りせむと 月待てば
 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな


 熟田津で船に乗ろうと月が出るのを待っていると、潮も満ちてきた。さあ、今こそ漕ぎ出そう。

002

中皇命

我が背子は 仮廬作らす 草なくは
 小松が下の 草を刈らさね


 いとしいあの方が、一夜の宿をつくっていらっしゃる。葺草(ふきくさ)がなかったら、小松の下の草をお刈りなさいな。

003

額田王

あかねさす 紫野行き 標野行き
 野守は見ずや 君が袖振る


 紫草の生えた野を行き、標野を行きながら見張りが見やしないか、いや、見てしまうでしょう。あなたが袖を振るのを。

004

大海人皇子

紫草の にほへる妹を 憎くあらば
 人妻ゆゑに われ恋ひめやも


 紫草のように色美しく映えているあなたのことをいやだと思うなら、人妻なのに恋い慕いましょうか、いや、恋い慕ったりはしません

005

天武天皇

よき人の よしとよく見て よしと言ひし
 吉野よく見よ よき人よく見


 昔のりっぱな人が、よき所としてよく見て「よし(の)」と名付けたこの吉野。りっぱな人である君たちもこの吉野をよく見るがいい。昔のりっぱな人もよく見たことだよ。

006

持統天皇

春過ぎて 夏来るらし 白袴の
 衣乾したり 天の香具山


 いつの間にか、春が過ぎて夏がやってきたようですね。夏になると真っ白な衣を干すと言いますから、あの天の香具山に。

007

高市黒人

ささなみの 国つ御神の 心さびて
 荒れたる京 見れば悲しも


 楽浪の地の神の御心も衰えて、荒廃に帰してしまったこの都を見ると、ほんとうに悲しいことだなあ。

008

柿本人麻呂

嗚呼見の浦に 舟乗りすらむ をとめらが
 玉裳の裾に 潮満つらむか


 嗚呼見(あみ)の浦で、舟遊びをしている乙女たちの、裳(も)の裾(すそ)に、潮が寄せているでしょうか。

009

坂門人足

巨勢山の つらつら椿 つらつらに
 見つつ思はな 巨勢の春野を


 巨勢山(こせやま)のつらなり咲いているたくさんの椿よくよく見ながら楽みましょうよ。つばき満開の巨勢の春の野を!

010

高市黒人

何処にか 船泊てすらむ 安礼の崎
 漕ぎ廻み行きし 棚無し小舟


 いまごろは何処に船を泊めているのだろう、安礼の崎をめぐって行ったあの棚無し小舟は。

011

山上憶良

いざ子ども 早く日本(やまと)へ 大伴の
 三津の浜松 待ち恋ひぬらむ


 さあ帰ろうよ皆の者早く日本へ、大伴の三津の浦では浜松も待ちわびていることだろう 。

012

志貴皇子

葦べ行く 鴨の羽がひに 霜降りて
 寒き夕へは 大和し思ほゆ


 葦辺を泳いで行く鴨の翼に、霜が降り積もる、そんな寒い夕暮れに、故郷の大和が偲ばれる。

013

天武天皇

わが里に 大雪降れり 大原の
 古りにし里に 落らまくは後


 私の暮らす都にはみごとに大雪積もったよまだ古ぼけた大原の里には降っていないだろう。

014

藤原婦人

わが岡の おかみに言ひて 落らしめし
 雪のくだけし 其処に散りけむ


 あら、その雪はわが大原の神に頼んでわたしが降らせた雪なのですが、それのおこぼれがそちらにも降ったのですね。

015

大伯皇女

わが背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて
 暁露に わが立ち濡れし


 わたしの弟を大和に見送って、夜のふける中、やがて明方の露に濡れるまで、わたしはずっと立ちつづけたのです。

016

大津皇子

大船の 津守が占に 告らむとは
 まさしに知りて 我が二人寝し


 大船の泊まる津守が占いにあらわすだろうことを、まさしく知りながらわたしは二人で寝たことだ。

017

弓削皇子

古に 恋ふる鳥かも 弓絃葉の
 御井の上より 鳴き渡り行く


 その昔の世に焦がれる鳥かこの弓絃葉の神聖な清水のあたりを鳴いて渡って行くほととぎすよ。

018

但馬皇女

人言を 繁み言痛み 己が世に
 未だ渡らぬ 朝川渡る


 人の噂がひどく私の心に突き刺さり、自分が生まれてからこの方、未だ渡ったこともない夜明けの川を渡り帰ります。

019

柿本人麻呂

小竹の葉は み山もさやに 乱げども
 われは妹思ふ 別れ来ぬれば


 笹の葉は山全体がざわめくほどザワザワと乱れ騒いでいるが、私はただひたすら妻のことを思い続けている。別れて来てしまったので。

020

有馬皇子

磐代の 浜松が枝を 引き結び
 真幸くあらば また還り見む


 磐代の浜松の枝を結びあわせて無事を祈るが、もし命あって帰路にとおることがあれば、また見られるだろうなあ。


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番号

作者

和歌

訳文

021

有馬皇子

家にあれば 笥に盛る飯を 草枕
 旅にしあれば 椎の葉に盛る


 家にいる時はいつも器に盛って食べる飯を、草を枕とする 旅の途中であるので、椎の葉に盛って食べることだ。

022

高市皇子

山振の 立ち儀ひたる 山清水
 酌みに行かめど 道の知らなく


 山梨の花が美しく飾っている山の泉を汲みに行って蘇らせたいと思うのだが、道の知らぬことよ。

023

柿本人麻呂

秋山の 黄葉を茂み 迷ひぬる
 妹を求めむ 山道知らずも


 秋山の黄葉が茂っているので、道に迷ってしまった妻を探そうにも、山道を知らないことよ。

024

柿本人麻呂

鴨山の 岩根し枕ける われをかも
 知らにと妹が 待ちつつあるらむ


 鴨山の岩を枕として死のうとしている私を何も知らずに妻は待ち続けているのだろう。

025

柿本人麻呂

大君は 神にし座せば 天雲の
 雷の上に 廬らせるかも


 大君は神でいらっしゃるから、天雲にとどろく雷のさらに上に、仮のやどりをされているよ。

026

柿本人麻呂

珠藻刈る 敏馬を過ぎて 夏草の
 野島の崎に 舟近づきぬ


 美しい藻を刈る敏馬を離れて、夏草茂げる野島の崎に船は近づいた。

027

柿本人麻呂

もののふの 八十宇治川の 網代木に
 いさよふ波の 行くへ知らずも


 宇治川の網代木のところで漂っている波の行方のように、どこへ行くのか、どうしたらよいかもわからないことよ。

028

長奥麻呂

苦しくも 降り来る雨か 神の崎
 狭野の渡りに 家もあらなくに


 雨に降られて行き惑う旅のわが身の切なさよ、三輪崎の狭野の渡し場に妻や子の待つ家もない。

029

柿本人麻呂

淡海の海 夕波千鳥 汝が鳴けば
 情もしのに 古思ほゆ


 琵琶湖の夕波の上を飛ぶ千鳥よ。おまえが鳴くと心もしんみりとして昔のことが思われる。

030

高市黒人

旅にして 物恋しきに 山下の
 赤のそほ船 沖へ漕ぐ見ゆ


 旅で家族が恋しいと思っていたとき、山すそにいた真っ赤な色の船、沖を行くのが目に映る。

031

高市黒人

四極山 うち越え見れば 笠縫の
 島漕ぎかくる 棚無し小舟


 四極山のその山を苦労して越えて眺めると、笠縫にある嶋を帆走して嶋にその姿を隠す、側舷もない小さな舟よ。

032

石川少郎

志賀の海人は 藻刈り塩焼き 暇なみ
 髪梳の小櫛 取りも見なくに


 志賀の海人のおとめは海藻を取ったり塩を焼いたりと暇がないので髪を梳く小櫛を手に取ってみることもないのだろう…。

033

石上卿

ここにして 家やもいづち 白雲の
 たなびく山を 越えて来にけり


 ここからだと吾家は何処のあたりかあの白雲のたなびく山を越えて来たんだなあ。

034

山部赤人

田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ
 不尽の高嶺に 雪は降りける


 田子の浦を通って視界の開けたところへ出て眺めて見ると、真っ白に、富士山の高い峰に雪が降り積もっているよ。

035

小野老

あをによし 寧楽の京師は 咲く花の
 薫ふがごとく 今盛りなり


 奈良の都は、咲き誇る花が色美しく照り映えるように、今が繁栄の真っ盛りである。

036

大伴旅人

わが盛 また変若めやも ほとほとに
 寧楽の京を 見ずかなりなむ


 私の盛りはまた若返ってやってくるだろうか。いやいや、もう奈良の京をほとんど見ることもなく終わるのだろう。

037

沙弥満誓

鳥総立て 足柄山に 船木伐り
 樹に伐り行きつ あたら船材を


 鳥総を立てて足柄山に船材を伐りながらあの男はただの木として伐って行ってしまった。惜しいことに船材を。

038

額田王

君待つと わが恋ひをれば わが屋戸の
 簾動かし 秋の風吹く


 あなたを待って私が恋しく思っておりますと、私の家の戸口の簾を動かして秋の風が吹いてきます。

039

阿倍女郎

我が背子が 着せる衣の 針目落ちず
 入りにけらしも 我が情さへ


 縫ってさしあげる、あなたのお着物の、針目に残らず入ってしまったようです。糸ばかりか、わたしのこころまで。

040

大伴坂上朗女

来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを
 来むとは待たじ 来じといふものを


 来れるだろうと言っても来ないときがあるのに、来れないというのを来るだろうかなどと思って待ったりはしません。来れないと言っているのに…。


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番号

作者

和歌

訳文

041

笠女郎

君に恋ひ 甚も術なみ 平山の
 小松が下に 立ち嘆くかも


 あなたを恋い慕わっているものの、全くどうしょうもないので、奈良山の松の下に立って嘆きながら待っているのです。

042

笠女郎

相思はぬ 人を思ふは 大寺の
 餓鬼の後方に 額つくごとし 


 片思いの相手を頼んでひたすら思い続けるのは、まるで大寺の餓鬼の像を後ろから額づいて拝むようなものだ。

043

紀女郎

今は吾は 侘びそしにける 気の緒に
 思ひし君を ゆるさく思へば


 いまやわたしは辛い思いに沈むことだ。わが命と思っていたあなたを、遠ざかるにまかせようと思うと。

044

大伴坂上郎女

恋ひ恋ひて 逢へる時だに 愛しき
 言尽くしてよ 長くと思はば


 長く恋続けてやっと逢えた、そのときだけでもせめて嬉しい言葉を尽くしてください。この恋を長くとお考えでしたら。

045

山上憶良

悔しかも かく知らませば あをによし
 国内ことごと 見せましものを


 悔しいことよ。こうなると知っていたなら、筑紫の国のあちこちを、見せたかったものを。

046

山上憶良

銀も 金も玉も 何せむに
 勝れる宝 子に及かめやも


 銀も金も玉もどれほどのことがあろうか。どんな宝も子供には遠く及びはしない。

047

大伴旅人

わが園に 梅の花散る ひさかたの
 天より雪の 流れ来るかも


 私の庭に生めの花が散っている。あたかも天から雪が流れ来るかのようだ。

048

山部赤人

若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ
 葦辺をさして 鶴鳴き渡る


 若の浦に潮が満ちて来ると、干潟が無くなるので、葦の生えている岸辺に向かって鶴が鳴きながら渡っていく。

049

山部赤人

み吉野の 象山の際の 木末には
 ここだもさわく 鳥の声かも


 吉野の象山の山あいの木々の梢では、たくさんの鳴き騒ぐ鳥の声がすることだなあ。

050

山上憶良

士やも 空しくあるべき 万代に
 語り継ぐべき 名は立てずして


 男たる者が、無駄に朽ちはててしまってよいものだろうか。後の代までも語り継がれるような立派な名声をたてることのないままにして。

051

石上乙麻呂

大崎の 神の小浜は 狭けども
 百舟人も 過ぐと言はなくに


 大崎の神の小浜は狭い港だが、たくさんの船の人々が、素通りすることもなく集まってくるということだ。

052

柿本人麻呂歌集

あしひきの 山川の瀬の 響るなへに
 弓月が嶽に 雲立ち渡る


 山中を流れる川の瀬音が高まるにつれて弓月が岳一面に雲が立ちのぼっていく。

053

作者未詳

幸はひの いかなる人か 黒髪の
 白くなるまで 妹の声を聞く


 幸なとは如何なる人をいうか、黒髪が白くなるまでも妻の声を聞く人だろう。

054

志貴皇子

石ばしる 垂水の上の さ蕨の
 萌え出づる春に なりにけるかも


 岩底を見せて、雪解けの水が流れる小さな滝のほとり、柔らかに蕨が芽吹いているよ。ああ、春になったのだなあ。

055

山部赤人

春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ
 野をなつかしみ 一夜寝にける


 春の野原にスミレを摘みにきたのだが、野辺の美しさに心ひかれて、ここでつい一夜を明かしてしまったなあ。

056

山部赤人

明日よりは 春菜採まむと 標めし野に
 昨日も今日も 雪は降りつつ


 明日からは春菜を摘もうと印をした野なのに昨日も今日も雪が降り続けるよ。

057

厚見王

蝦鳴く 甘奈備川に 影見えて
 今か咲くらむ 山吹の花


 河鹿(かじか)が鳴く神奈備川に影を映して、今頃咲いているだろうか、あの山吹の花が。

058

山部赤人

恋しけば 形見にせむと わが屋戸に
 植ゑし藤波 いま咲きにけり


 恋しい時には形見として偲ぼうとわが家に植えた藤はいま波うって咲いたことだなあ。

059

大伴家持

夏山の 木末の繁に 霍公鳥
 鳴き響むなる 声の遥けさ


 ほととぎすがあの夏山の梢の繁みに潜んで鳴いているのだろう。遥か彼方にまで響き渡っていることだなあ。

060

岡本天皇

夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は
 今夜は鳴かず 寝ねにけらしも


 夕方になるといつも小倉の山に鳴く鹿が、今夜は鳴かない。もう寝てしまったのだろうなあ。


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番号

作者

和歌

訳文

061

山上憶良

秋の野に 咲きたる花を 指折り
 かき数ふれば 七種の花


 秋の野に咲いている花を指折って数を数えれば次の七種類の花が美しい。

062

聖武天皇

秋の田の 穂田を雁がね 暗けくに
 夜のほどろにも 鳴き渡るかも


 たわわに実る秋の田の穂を刈るころの田の上を、雁が夜明けの暗い中鳴いて渡って行くことだ。

063

湯原王

夕月夜 心もしのに 白露の
 置くこの庭に 蟋蟀鳴くも


 夕月の夜に、心がしなえるほどに白露がおりているこの庭に、こおろぎが鳴いているよ。

064

大伴書持

あしびきの 山の黄葉 今夜もか
 浮かび行くらむ 山川の瀬に


 あしひきの山の黄葉は今宵も浮かび行くのでしょう。山川の瀬の流れに。

065

高橋虫麻呂

筑波嶺の 裾廻の田井に 秋田刈る
 妹がり遣らむ 黄葉手折らな


 筑波山の裾まわりの田んぼの実った稲 を刈 ろう。そして、あの娘 にあげたい黄葉を手折っておこう。

066

作者未詳

能登川の 水底さへに 照るまでに
 御笠の山は 咲きにけるかも


 能登川(のとがわ)の水底さえ輝いてみえるほど、御笠(みかさ)の山に花が咲き乱れています。

067

作者未詳

真葛原 なびく秋風 吹くごとに
 阿太の大野の 萩の花散る


 葛(くず)の原をなびかせる秋風が吹くたびに、阿太(あだ)の荒れ野の萩(はぎ)の花が散ります。

068

作者未詳

高松の この峯も狭に 笠立てて
 盈ち盛りたる 秋の香のよさ


 高松のこの山の頂も狭いほどに、きのこが笠を立てて満ちあふれている、秋の香りのよいことよ。

069

人麻呂歌集

あしびきの 山道も知らず 白橿の
 枝もとををに 雪の降れれば


 どこが山道なのかも分かりません。白橿(しらかし)の枝もたわわになるほどに雪(ゆき)が降っているので。

070

柿本人麻呂歌集

高麗錦 紐解き開けむ 夕戸の
 知らずある命 恋ひつつあらむ


 美しい高麗の錦の紐を解き、夕べには戸を開けておきましょう。夕方までの命さえおぼつかないのに、あなたを焦がれて待つのかな。

071

作者未詳

朝寝髪 吾れは梳らじ うるはしき
 君が手枕 触れてしものを


 朝の寝乱れ髪を、わたしは櫛でとくまい。いとしいあの方の、枕とした手が触れたものを。

072

作者未詳

紅の 裾引く道を 中に置きて
 われか通はむ 君か来まさむ


 紅の裳裾を濡らしさえすれば 渡れる川の向こうに君はいらっしゃる私が渡って行こうかしら それともやはりこのままお待ちし続けましょうか。

073

東歌

信濃なる 須賀の荒野に ほととぎす
 鳴く声聞けば 時すぎにけり


 信濃の国の須賀の荒野にほととぎすのさえずりを聞くと、もう季節が過ぎて夏になったのだなあ。

074

東歌

足柄の 箱根の山に 粟蒔きて
 実とはなれるを 逢わなくもあやし


 足柄の箱根の山に、粟をまいて実らせたように、私の恋も実ったはずなのに、逢えないのはどうしてでしょうか。

075

東歌

信濃道は 今の墾道 刈株に
 足踏ましなむ 履はけわが背


 信濃路は新しく切り開いたばかりの道です。きっと切り株をお踏みになるでしょう。くつをおはきなさい、わが夫よ。

076

東歌

多麻川に 曝す手作り さらさらに
 何そこの児の ここだ愛しき


 多摩川でさらす手織りの布のように、さらにさらに、どうしてこの娘がこんなにも愛おしいのだろう。

077

東歌

鳰鳥の 葛飾早稲を 饗すとも
 その愛しきを 外に立てめやも


 鳰鳥(にほどり)がかずく、葛飾の早稲を神に捧げるときとて、どうして、あの愛する男を外に立たせたままにできよう。

078

東歌上野国歌

吾が恋は まさかもかなし 草枕
 多胡の入野の 奥もかなしも


 私の恋は現在も悲しいし、多胡の入野が奥深いように、遠い将来までもが悲しくてならない。

079

東歌

稲春けば 皹る我が手を 今宵もか
 殿の若子が 取りて嘆かむ


 稲を搗(つ)くと、あかぎれできる私の手を、今夜も、お屋敷の若様が手に取って、かわいそうにと嘆いて下さるでしょうか。

080

東歌

うべ子なは 吾に恋ふなも 立と月の
 流なえ行けば 恋しかるなも


 たしかに、あの子はわたしに恋をしているらしい。月々が立ちつづけていくと、恋にくるしいことだろう。


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番号

作者

和歌

訳文

081

東歌

柵越しに 麦食む小馬の はつはつに
 相見し子らし あやに愛しも


 柵越しにわずかに麦を食う小馬のように、ちらりとだけ会ったあの娘が心に残っていとしくてたまらない。

082

遣新羅使

我が故に 妹嘆くらし 風早の
 浦の沖辺に 霧たなびけり


 私のことを思って、妻が嘆いているようです。風早の浦の沖辺に、霧がたなびいています。

083

狭野弟上娘子

君が行く 道の長手を 繰り畳ね
 焼き滅ぼさむ 天の火もがも


 あなたのいらっしゃる道の、長い道のりを手繰り寄せて畳んで、焼き尽くしてくれるような天の火がほしい。

084

忌部首

枳の 棘原刈り除け、倉立てむ
 屎遠くまれ 櫛造る刀自


 枳(からたち)のいばらを刈りとって、倉をたてよう。くそは遠くにしてくれ、櫛をつくるおばさんよ。

085

橘諸兄

降る雪の 白髪までに 大君に
 仕奉れば 貴くもあるか


 降り積もった雪のように、髪が白くなるまで、陛下にご奉公申し上げることができたことを思いますと、畏れ多くも有り難いものにございます。

086

大伴家持

かからむと かねて知りせば 越の海の
 荒礒の波も 見せましものを


 こうなると、かねてから知っていたなら、越の海の荒磯(ありそ)に寄せる波を見せてあげたものを。

087

大伴家持

立山の 雪し消らしも 延槻の
 川の渡り瀬 鐙漬かすも


 立山の雪も融けはじめたらしい。水が滔々と押し寄せてくる、この早月川の渡り瀬で馬の鐙が水に浸かってしまった。

088

作者未詳

安積香山 影さえ見ゆる 山の井の
 浅き心を 吾が思はなくに


 安積山の影が写る泉のような、浅い心で貴方ををおもてなししょうとは、私は思わない。国の誰がそう思うとも。

089

大伴家持

春の園 紅にほふ 桃の花
 下照る道に 出で立つをとめ


 春の庭が紅色に美しく照り輝く、桃の花が木の下まで照り映えている道に出て、たたずむ少女よ。

090

大伴家持

春の野に 霞たなびき うら悲し
 この夕かげに 鶯鳴くも


 春の野に霞がたなびいていて、なんとなくもの悲しい気持ちがする。この夕暮れの淡い光の中で鶯(うぐいす)が鳴いていることよ。

091

大伴家持

うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり
 情悲しも 独りしおもへば


 のどかに照る春の日差しの中を、ひばりが飛んでいく。そのさえずりを耳にしながら一人物思いにふけっていると、なんとなく物悲しくなっていくものよ。

092

丈部稲麻呂

父母が 頭かき撫で 幸くあれて
 言ひし言葉ぜ 忘れかねつる


 父母が私の頭を撫でて、無事でいよと言った言葉が忘れかねるよ。

093

大舎人部千文

霰降り 鹿島の神を 祈りつつ
 皇御軍に 吾れは来にしを


 あられ降り鹿島の神に祈願をこめて、天皇の軍にわたしは加わってきたものを。

094

大伴部広成

ふたほがみ 悪しけ人なり あた病
 我がする時に 防人にさす


 ふたほがみは悪い人だ。あた病をわたしがしているときに、防人に指名した。

095

他田部子磐前

ひなくもり 碓氷の坂を 越えしだに
 妹が恋しく 忘らえぬかも


 出発して未だ浅く、碓井峠の坂を越えたばかりなのに、妹が恋しく忘れることが出来ない。

096

宇遅部黒女

赤駒を 山野にはがし 捕りかにて
 多摩の横山 徒歩ゆか遣らむ


 赤駒(あかごま)を、山野に放って、捕まえられず、多摩(たま)の横山(よこやま)を徒歩で行かせなければならないことです。

097

物部刀自売

色深く 背なが衣は 染めましを
 御坂たばらば ま清かに見む


 濃い色にあなたの衣を染めらばよかった。足柄の御坂を越えるときに、はっきりと見えるでしょうに。

098

大原桜井

佐保川に 凍り渡れる 薄氷の
 薄き心を わが思はなくに


 佐保川に凍り渡る薄氷のような、薄き真心を私は持ってはいません。

099

大伴家持

あしひきの 八峰の椿 つらつらに
 見とも飽かめや 植ゑてける君


 八峯の椿をつくづく見ても見飽きることがない、これを植えたあなたのことも見飽きることがあるだろうか。

100

大伴家持

新しき 年の始の 初春の
 今日降る雪の いや重け吉事


 新しい年のはじめの、新春の今日降る雪の積り重なるように、ますます重なれ。よいことが。